作業療法士は人と人とのコミュニケーションです
職場の先輩など患者さんとのコミュニケーションが上手な人を見て、「あの人みたいになりたい」と、そう思ったことがあるかもしれません。何を話していいか分からない。ちゃんとコミュニケーションとれるかな?といった学生さんや新人セラピストに説明します。
人と話すのって難しい
コミュニケーション能力を高めていくにはどうすればいいのでしょうか。
コミュニケーション能力とは、数値で測れるものではありません。
あなたとコミュニケーションを取った相手の評価がすべてです。
この人と話してよかった。
この人の話はわかりやすい。
そして、またこの人と話したい・・・。
そんな風に相手が感じる人こそ、コミュニケーション能力が高い人だと言えます。
理由①何を話していいか分からない
初めて会う人と話すときは緊張しますよね。
私も「何か話さなきゃ」と思うほど頭の中が混乱して言葉が出てこないことがあります。
話始めるコツは相手との共通点を見つけること。
順に説明すると、話し相手に興味のない知らない話をしないということです。一般的には天気や季節の話をするのがベターです。「今日一日晴れですね」「午後から雨が降るらしいですよ」など当たり障りのない話から始め、徐々に話の輪を広げていきましょう。
患者さんとのコミュニケーションでは、「わかりやすく」「ポジティブ」なワードを使うようにします。
政治の話やお金の話など考え方で対立してしまう内容は避けましょう。
理由②話が続かない
話が続かない場合は想像力を働かせます。
- 「いい天気ですね」→「天気のいい日はどこに行かれますか?」
- 「今日は雨ですね」→「じめじめしますね・・・早くやんで欲しいですね」
- 「足が痛いのよ」→「いつから痛いですか?」「しんどいですね」
もしくはオウム返しも効果的です。
- 「今日はいい天気だね」→「いい天気で気持ちいいですね」
- 「今日は雨ですね」→「今日は雨ですね。」
- 「足が痛い」→「足が痛いんですね。大丈夫ですか?」
患者さんと話す場合は話の内容だけでなく、その背景にある感情にフォーカスします。
自分の言いたいことを言うのではなく相手の話を聞き出してその気持ちを共感する。
話し相手が心を許せる相手だと信頼されると話題は途切れることなく話すことができます。
理由③相手が何も話してくれない
相手が心を開いてくれないケースが一番難しいです。こっちから話しかけても無視されたり、「あっそ」「別に」と興味を示してくれない。この場合は正常な認知機能が備わっていない可能性もあります。もしくは性格的な面も…
チェックポイント(高齢者の場合)
- 耳は聞こえているか?
- 目線は合っているか?
- 言葉を話せるか?
- 意識レベルは低下していないか?
- 顔の表情はどうか?
・耳や目などの認知機能が低下していると、あなたの事が理解しにくくなります。分かりやすい言葉で若干大きめの声で話しかけます。耳が聞こえない人へは紙に書いて伝えます。また、手を握ると安心感が増します。
・言葉が話せない人は表情からくみ取ります。耳から聞いて理解が出来る人ならYES・NOでのコミュニケーションも可能です。
・眉間にしわが寄ってにらみつけていたり、まったく顔も見ようとしない人は周囲を警戒しています。まずは安心感を持ってもらうことを第一優先して笑顔で話しかけましょう。すぐにコミュニケーションをとることは難しくても徐々に打ち解けることを期待します。
まとめ
患者さんとのコミュニケーションは安心感を与えることと相手の気持ちを共感することです。