認知症介護

認知症介護の結論

はじめまして作業療法士のたまるです。

今回は、終末期リハビリテーション・介護保険領域で10年経験のある私が、普段思っていても言えないことを伝えたいと思います。

綺麗事かもしれませんが、最後まで見て言ってください。

認知症についての誤解

はじめに、現代の認知症治療は認知症の人を普通に戻すことではないです。

いかに認知症の進行を遅くして日常生活に支障をきたさないかを考えています。

認知症は早い人で40代から発症するとも言われており、まだまだ偏見が多いと思います。

「ボケたら何もできない」「あんな風になりたくない」と思っている人もいるのではないでしょうか?

実際は「できていることもあるし、できないこともある」が正解です。

例えば、スマホの使い方は分からないけど、新聞は読める

    コンビニまでは行けないけど、ゴミ捨て場までは行ける

    昨日のことは忘れても、30年前のことは覚えている   などです。

現役世代の介護者からは、「何もできない」と言われるかもしれませんが、昔できていたことならできる可能性は高いです。

買い物を例に挙げると、今はキャッシュレス決済が主であり、現金を持ち歩くことが減ってきています。

また、ネットショッピングもスマホやパソコンが使えなければ便利な恩恵を受けられません。

現代は常に新しい技術やシステムを理解していかないと文明から取り残されてしまうのです。

認知症は新しいことを習得することが難しくなります。必然的に普段の生活が不便になり、誰かに頼らないと生きていけないということが普通になります。

「誰かに頭を下げてやってもらう」のは人によってはプライド許さないことなのかもしれません。

認知症の人に残っているもの

私の経験によると、認知症は知識や記憶力は顕著に低下します。

見当識(日付・場所・人)が分からなくなることが一般的です。

自分の家にいることが分からずに、家の中にいるにも関わらず外に出かけて家に帰ろうする。

これは、今住んでいる家と子供の頃に住んでいた家とが乖離しており、現状が理解できていない状況なのです。

また、不安な状況から逃げ出したいけど逃げ出せない状態のため、わけも分からずさまよってしまうこと(徘徊)もあります。

忘れてはいけないのは、認知症の人にも感情は残っているということです。

笑顔で話しかけれれば、言葉の意味は分からなくても心地よく感じるます。

「なんだかよくわからないけど、あなたといるとホッとする」と感じてもらうと穏やかに過ごすことができます。

しかし、介助者が嘘をついて誤魔化して話すと「信頼できない悪者」と感じるでしょう。負の感情は深層心理に働くので長く記憶に定着し易いのです。

結果的に、介助者への信頼が途切れて不安や怒りの感情を引き出してしまいます。

認知症の人であれ、感情を持った人間です。不誠実な対応をすることは苦労する介護になってしまいかねません。

認知症介護の結論

認知症介護は介護者自身のメンタルを安定させること。

認知症の人のペースを考えずにに無理に介助者の考えを押し付けたり、本人の行動を抑制させようとすると強い反発を受けるでしょう。

認知症の人が無理に介助者の言う事を聞いていても、それは強いストレスを与えているので、一時的に良くても他の身体症状として現れることもあります。

本人の意向を考えてうまく誘導できれば介護する労力は軽くなります。

決して一人だけで抱え込まないことが一番重要なことです。

肉体的にも精神的にも苦しいのなら公的なサービス利用を積極的に利用し、レスパイト(休息)を取るようにしましょう。

まとめ

日本人の65歳以上の5.4人に1人が認知症と言われています。

認知症は生活に支障をきたし、誰かの介助を必要とします。

しかし、それは認知症の進行度や今まで生活してきた過程により介助度が変化します。

出来ることと出来ないこととを見極めて、任せるところは任せられるように支援していくことが重要です。

でも、あなたも心の何処かで「ボケたくない」と感じていませんか?

認知症高齢者についてネガティブな考えを持ち、思い通りにならない高齢者に対して嫌悪感を抱くのではないでしょうか?

地域の中で認知症高齢者を支えていく取り組みを国を上げて行っています。

一人の力は小さいですが、認知症の理解を深めていけたら良いと思います。

最後まで見ていただいてありがとうございました。

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